古代の人々の主食としては、米・麦・粟・黍・豆の五穀である。
とはいえ、これは古代の高貴な人々の方の食事の内容で
あり、庶民の主食としては麦・粟・黍・稗・蕎麦などの、
いわゆる雑穀であった。
炊飯には、コシキで蒸す方法と土鍋に水を入れて炊く方法があった。
そして蒸した飯を強飯(こわいい、現在のオコワ)、
炊いた飯を粥と言った。水気の多い粥を汁粥と言い、
水気の少ない飯を固粥と言った。
その他、油でいためた油飯、籾のまま焼いた後殻を取った焼き米や
携帯用の「乾飯」などがあった。この「乾飯」とは、干飯の事。
炊いた米を天日に干して乾燥させ、携帯用とした。
そして食べる時には、水に浸して柔らかくしてから食べていた。
副食の事は総称して「ナ」と言っており、野菜類だと考えられている。
これには、畑で栽培するものと山野に自生するものがあった。
この内の、「子水葱」や「芋」は栽培したもの、
「うはぎ(ヨメナ)」と「芹子」は山野に自生するものである。
またこの他にも、ヌナワ・エグ・ヒシ・ニラ・ツバナ・トコロなど、
山野や湖沼に自生する四季折々の野草類が多く食材として
用いられた。果物としては、瓜・栗・桃・梨・李・梅・橘などがある。
調味料としては、塩・酢・醬・モムニレなどがあった。
しかし、当時酢や醬はかなり高価なものであったらしく、
庶民が一般的に使用する事はなかった。
塩としては、糟湯酒の肴に舐めた塊状の「堅塩」、シタダミを塩もみにした
「辛塩」、蟹の塩辛に使った「初垂」(ニガリ)があった。
醬は、大豆・米・ウルチ・酒・小麦を原料として醸造したもので
古代の代表的な調味料であり、現在の醤油の元でもある。
酢には、米から作る米酢と酒を腐らせた酒酢があった、